バーのカウンターに座わるといつも水割りを2つ注目し、
それを交互に飲む客がいた。
常々、不思議に思っていたバーテンが訳を尋ねてみた。
男はこう答えた。
「一つは俺の分。
もう一つは酒が大好きだった亡き親友の分さ。
ヤツを偲んでこうやって一緒に飲んでいるんだ。」
バーテンはひどく感激した。
「とてもよい話を伺いました。」
ところが何日か過ぎて、その客が水割りを1つしか注文しなくなった。
不審に思ったバーテンは
「このごろ1つしか注文されませんが何かあったんですか。」
男は答えた。
「いやなに。
俺の方は医者から酒を止められたんだ。」